「すっごいよ、綾乃。再出場の以来が止まらないって!今までこんなことになったことない!」


この間のライブ主催者からかかってきた電話を終えると、領がケータイを片手にそう言った。

私たちはまだ、あの時の興奮がおさまらないでいるけれど。

聞いてくれていた人たちも同じ思いだと思うと、ますます心が熱くなってくる。領の目も信じられないくらいまるくなっているし。


「だってすごかった、あんな歓声あびたの初めて」


浩平がそう言えば。


「ウチも超びびったつーの。つーか、ウチらも自分自身で一番達成感あったしな」


怜もそう言う。


「私も……人生で1番、楽しかったかも」


私がそう言えば。


「俺も!ライブのたびに毎回、人生で1番を更新してくんだよ!」


領もそう言って笑う。

そういえば、領がライブの前に円陣で言っていたな。 『楽しんで』と。


ステージの上で、誰よりも1番いい景色を見させてもらった。だからこそ、楽しいという思いが強く残っていて。それをメンバーや観客に共有できたことが、何より嬉しいんだ。


そして、あのライブ以来、私達の絆はずっと深まった気がした。