「ルーシーも、ヘリオンスとの国交が盛んになれば大喜びだわ」
「ほう⋯⋯興味深いな。なぜだ?」
日差しをしのぐため、彼の腕を引いてガゼボに立ち寄って、お馴染みのベンチからルーシーを見守る。
いつの間にか、賑やかな輪には、兄さんや仏頂面のカルム団長までまじっていた。
「あら、ルイナードは、聞いていないの? この前の議会で『うんめーのひと』に会ったんですって」
「⋯⋯どこの馬の骨だ」
形のいい眉が、わかりやすく寄せられる様が面白くて、笑みがこぼれ落ちる。ものすごく不愉快そうだ。
「ふふ、馬の骨って。そういうこと言っちゃだめよ。
ヘリオンスの大臣の息子さまなの。『しょーらいはそこにとつぐ』って張り切っているわ」
途端にしゅん、と肩を落とすルイナードが可愛らしくて、その大きな体を抱き寄せ胸に顔を埋める。
暖かくて、誰よりも優しいルイナード。
この下に、大きな傷跡を抱えていることを、私は知っている。
「別に落ち込んではいない。俺にはアイリスがいる」
声に促されて「ほんと?」と覗き込むと、私を見下ろす扇のような睫毛が、柔らかに揺れる。



