「――あ! おとーさま――!」
私の背後に視線を走らせたルーシーは、話を途中に、お気に入りの水玉のワンピースを揺らしてブロックの上を駆け抜ける。
そして、現れた大きな影に、小さな体が体当たりする如く抱きついて。
「ルーシー、元気なのはいいが転ぶぞ」
視線を上げると、今日も神々しいまでの美貌を咲き放つルイナードが、クロードさん共に庭園に降りてきたところだった。
陶器のような滑らかな肌に、嵌め込まれる瞳は太陽と同じ色の瞳。
高く通った鼻と、薄い桃色の唇をルーシーの額に当てると、今度は私へと甘く微笑んでくれる。
『アイリス』
そう口元でつぶやくと、まっすぐこちらへと足を動かす。
それから、ルーシーは遊び相手のクロードさんの手を引いて芝生へと走り出し。あわてたサリーが「お待ちください」と、その後を追いかけていく。
ふたりきりになった空間で、ルイナードはしめしめと言わんばかり私の手を取った。
ルーシーが生まれてからと言うものの、彼はとても表情が柔らかくなった気がする。
「時間が出来て、会いに来た。お前はまた花の世話か」
「そうね。でも、ルイナードが時間作ってくれるなら⋯⋯それに勝るものは無いわ」
やってきた彼の腕に寄り添ったところで、彼の衣装に意識が向く。漆黒の騎士団の制服だ。



