ねぇ、ルイナード。
あなたは、あの仮面舞踏会の夜を覚えている?
盛大な合奏団の演奏を耳にしながら、赤い絨毯の先に見える、愛しい彼に心の中で問いかける。
『――どうですか? 今宵のお相手に私などは?』
あなたはすぐに、私に気付いたと言っていたけれども。
もしかしたら、私の方も、無意識の中であなたに気付いていたのかもしれない。
視覚や感覚的なものではなくて。もっと、本能的なナニカに引かれて。気づいたらあなたの優しい腕に身を委ねていた。
『俺を殺す権利をやる』
突然の妊娠とともにおかしな提案を持ち出したくせに。
『俺が悪いことをしているみたいだろ』
たまに見せる、切ないほどに真っ直ぐな思いは、鋼のようだった私の憎しみを解き放ってくれた。
でもね。
『黙れ』『泣くな』
そんなふてぶてしい態度ばかりとるくせに。
『俺の気持ちはあの頃から、変わらない』
誰よりも純真で、真摯な想いをむけてくれるルイナードを、好きにならない女性なんていないと思うの。



