病室にはいると、病院特有の強い消毒液の香りが鼻を刺激する。
所々に包帯とガーゼを当てたルイナードが、中央にある真っ白なベッドの上で眠っていた。
陶器のように白い肌。翼のように長く伸びた睫毛。細く通った鼻筋に、桃色の唇。動かない彼は、傷だらけなのに美しい彫刻のようかと思わせる。
「ルイナード⋯⋯」
そっと、彼の首筋に触れると、トクトクと規則正しい脈をうっていて、少しだけ胸をなでおろす。
あんなに甘い夜を過ごしたあとで、こんな再会になるとは思わなかった。
『二週間後の婚姻の式典までには、必ず戻る』
城を経つ前、彼はそう言っていた。今思えば、翌朝私が不安がらないように、そう言い残して言ってくれたのだろう。
けれども。私は、式典なんてどうでもいい⋯⋯。
儀式とか関係性とかなんだっていい。
ただ、そばにいて欲しい。



