「アイリス、落ち着いて。ルイナードが君を置いていくわけない。式典もあげていないのに、死ねるわけないだろう!」
「マーシー⋯⋯」
何の確証も無いけれど、私の正気を保つには充分な効力をもつ言葉だった。
チョコレートブラウンの瞳が無理矢理、笑顔をつくる。
マーシーも、不安なんだ。
「君はこの帝国の皇妃になるんだ。ルイナードを信じて」
続けられた言葉に、感銘を受ける。
そうだ。式典は挙げてはいないけれど。私はルイナードに、不在の間を任された、皇妃だ。そして、お腹には彼との宝物がいる。
私は心を奮い立たせるように、大きく深呼吸をした。
それから、ほどなくして。容態確認から戻ってきたハリス先生が、ルイナードとの面会を許可してくれた。マーシーからは「いっておいで」と気遣いを受ける。



