部屋までの移動時間がやけに長く感じた。

私たちはキスを交わしながら、縺れ合うようにふたりの寝室なだれ込む。やっと真正面から見つめ合えたのは、ベットに横たえられたときだった。


「ずっと、こうしたかった」


体重をかけないようにのしかかってきたルイナードは、首筋に熱い舌を這わせながら、性急に胸元のくるみボタンを器用に解いていく。

彼の今までにない焦ったような手付きに、じわりと腰回りが疼くのがわかる。


「⋯⋯不安どうのこうのって言ってたくせに⋯⋯?」

「黙れ⋯⋯もう限界だ」


そう言って、キスで不満をなだめながら、緩んだ私のドレスを足からするりと引き抜いて。自らのシャツやズボンもベッドの下へと落とす。

ひとつひとつ身軽になっていく私たち。

衣類のこすれる、密やかな音が欲を掻き立てる。

薄いカーテンの奥から射し込む月明かり。

照らされた、ルイナードの引き締まった肉体があまりにも扇情的で、美しくて、思わず息が震える。


もう、葛藤や迷いなんてない。本能で彼を求めている。


彼が欲しい。


「あまり煽るような目で見るな⋯⋯子供がいるというのに、お前を激しく求めてしまいそうになる」

「だって⋯⋯あなたがすごく綺麗で⋯⋯」

「お前より、美しいものなど無い」


両手で大きな背中を抱きしめて、熱い手のひらと、唇が私の身体に丁寧に触れていくのを感じる。

仮面舞踏会の夜よりも熱くて。とても強引なのにもどかしいほどの優しい愛撫。

ひとつひとつの動きに、体がしなって。淫らな声が我慢できなくて。

それに比例するように、ルイナードの息遣いが上がっていくのが伝わる。