好きよ。好きよ。あなたが好きよって。


絡め合う舌から。息遣いから。唇を通じて、ルイナードの真摯な思いが私の全身にするすると流れ込んでくる。

名前を心でつぶやくだけで、胸が苦しくて。好きなのに何故かとてつもなく切ない。

こんなに近くにいるのに。愛しているのに。なんで、未だに暴けていないのだろう。


あの日⋯⋯一体なにがあったの?


何度問いかけても、何度キスを唇を交わしても。きっと、今はその答えを教えてはくれない。


名残惜しさを残しながら、ゆっくりと唇が離れ、縁取られた扇のようなまつげの下から、黄金色が顔を出した。

そして、それは、唐突に告げられた。


「――少しの間、国を空ける」


その瞬間、私は言葉を失い。息をするのを忘れてしまった。


「どういうこと⋯⋯?」

「そんなマヌケな顔をするな。もう一度、橋の工事の視察にいくだけだ。⋯⋯二週間後の婚姻式典までには、必ず戻る」


先月、掲示された式典は、思えば、もう二週間後に差し迫っていた。

でも問題はそんなことじゃなくて、前回の帰還を思えば心は不安に埋め尽くされる。

咄嗟に、離れていこうとした白いシャツを掴む。