「ルイナードの言葉の何が嘘で、何が本当なのかが、わからない」
この“矛盾”に気づきはじめたときから、繰り返される疑問の波に頭を悩まされ続けている。
よくよく考えれば、はじめからだった。
なぜ、仮面舞踏会でわざわざ私を選んだのか。
なぜ、短剣を手渡して、自らが不利となる取引をもちだしたのか。
なぜ、ここまで手を痛めて私のために花を摘むのだろか。
そして――なぜ自ら手を下した相手に花を捧げるのか。
幾度となく期待へ導かれる自分を叱咤して、これまでのように“憎しみ”へと起動を修正してきた。
なのに、大きくなりすぎた希望は、自分でさえも制御することができなくなってきている。
恨めしいくらいに晴れた空を見上げると、兄さんもつられたのか、共に空を見上げた。
「わからなきゃ、突き詰めればいいんじゃないか?」
「え?」
あっけらかんとした声が、私の暗い思考を遮る。
斜め上にある瓜二つの顔には、にんまりと得意げな笑みが浮かんでいた。
「アイリスが疑問を感じるなら、納得がいくまで⋯⋯とことん突き詰めればいい。陛下の言葉すべてが真実とも限らなければ、嘘とも限らない。男は、好きな女の前じゃカッコつけたいもんだろう?」
「カッコって⋯⋯」
ふざけた兄さんの持論なのに、妙に納得させるものがあるのはどうしてだろう。それも、ルイナードに“好き”だと言われたわけではないのに。



