豪快で気さくでシャドレは、とても人望があり、多くの人から好かれる不思議な魅力を持つ宰相だ。
そんな人の子どもがどんな人物であるのか、俺は前々から気になっていた。
しかし、ちょうど三日前から熱を出していた俺が、アイリスを見かけたのはこの日はじめてだった。
『ルイナード様、体調が良くなりましたら、私の子どもたちを紹介させてください。ちょっとばかり――娘の方は気がつよいのですが⋯⋯』
その娘が――あの子か。
この日を堺に、ひとりでぽつんと佇む彼女を眺めることが俺の一日の一部となってしまった。
あるときは庭師とともに花を愛で、あるときは優しく花たちに声をかけ、たまにひっそり影に隠れて泣いている。
そんな彼女とようやく対面することができたのは、アイリスが城にやってきてからニ週間が過ぎようとしていた頃だった。
俺は、目の当たりにして、その存在感と輝きに驚いた。
5歳とは思えないほどの凛とした美しさと、芯の強さを感じるエメラルドの大きな瞳。目が反らせなかった。
そして、このとき、思ったんだ。
グランティエ家に生まれた、たった一人の血筋だというのに、その将来を心配されるほど、か弱く、軟弱で情けない自分。
しかし、彼女のその涙を拭えるくらいには、強くなりたい。
『今日からお前の友達になってやる。アイリス』
アイリスを笑顔にするのは、俺でありたい。
――そう切に願った。



