あぁ、来なければ良かった。
こんなのを見てしまったら、余計にどうしていいのかわからないじゃない。
身体の奥底から、熱いナニカがぐわーっと上がってきて、今にも心臓がつぶれてしまいそうだ。
激しく刻む鼓動が痛い。
三週間ぶりに、きちんと対面した彼の手には。
たくさんのラベンダーの花が、カゴの中にしき詰められていた。
「なんで⋯⋯花なんて⋯⋯持ってるの」
うまく声が出てこない。
しかし、それは彼の方も同じようで、かごを抱いてもう一方にランプを手にしたまま。顔を背けたまま。なにも答えようとしない。
「なに、してるのよ」
責めたいわけじゃないのに。答えない彼に苛立ちが募る。
ほんとうは、最近薄々と気付いていた。
今でも毎日届く花のプレゼント。
マーシーではないということは、彼の訪問した日にわかって。先日は、クロードさんが、玄関口に器用に花を生けているのを発見してしまった。
兄さんは『最近毎日花が置いてあるなー』なんて興味なさげで。



