しかし、やっと温室の出入口にたどり着いたところで、私ははたっと手を止めた。
ここまできたのはいいけれど、どうするの?
注意深く思案する。
相手は組織かもしれないのだ。
武器を持ち合わせているかもしれないというのに、急いで出てきてしまった私は、白いネグリジェ一枚の丸腰もいいところ。
こういうときに短剣持っていなくてどうするの!
カルム団長を叩き起こしてきた方がいいかもしれない。
そう頭を切り替えて、踵を返そうとしたときのことだった。
「だれかいるのか」
「きゃっ」
入り口の前で立ち尽くしている私は、カッと、ランプの光に照らされてしまった。
眩しさから、袖でサッと顔を隠して背ける。
しかし⋯⋯。聞き覚えのある声だ。
単調で、淀みのない偉そうな。私がこの声を聞き間違えるわけがない。
そして、向こうもそれは同じようで、相手はランプを掲げたままに、ゆっくりとこちらへ近づいてきて。
やがて、信じられないといった表情で、私の前で歩行を止める。
「⋯⋯アイリス。なんでこんなところに⋯⋯」
「あなたこそ⋯⋯なんでここに?」
ラフな白シャツと黒のトラウザーズ。首元に毛皮のついた薄手のローブを羽織ったルイナード。
そして、手には何かを抱えている。
私はゆっくりと視線を彼の手元に移して――
すべてを察してしまった。



