ここ最近、この時間になるととても嬉しいことが起きるようになった。
ほんの少しふっくらしてきたお腹に手を添える。
まただ⋯⋯。グニグニ、とお腹の中で感じる、かすかな生命の動き。
ハリス先生に報告したところ、早ければこのぐらいから“胎動”という赤ちゃんの動きを感じられると聞いた。意識していないとわからないくらいだが、とても命の力強さを感じる。
嬉しさあまり、頬が綻ぶ。
そのときだった。
――ガシャン⋯
庭園からフェンスの開閉する音がかすかに耳に入る。
なに?
ハッと顔を上げて、庭園を注視すると。
――薔薇の管理される温室の中へと消えていく、怪しい人影を発見した。
時刻は夜11時を回っている。誰もが寝静まっているはずの時間だ。
だれ⋯⋯? 怪しすぎるわ。
ちらりと昼間のカルム団長の話が再びよぎる⋯⋯
『デモが続いているんだよ』
――もしかして城に侵入者――?!
咄嗟に判断した私は、駆り立てられるように園庭へと急いだ。
見たところ人数はひとり。
こんな時間に庭園にいるだなんて、良からぬことを考えているに決まっている。
玄関を飛び出し水路に沿って歩みを早め。花壇への入り口を目指す。温室があるのはその裏手だ。
薬草やハーブ、棘や毒をもった植物は、その中で管理栽培されている。



