思わずギョッ!!とした。
「ちょっと、あなたも一緒に過ごすの? 公務にもどらないの?!」
「⋯⋯お前はどこまで俺を働かせる気だ⋯⋯。たまには皇妃と日常を過ごすのも悪くないだろう。突っ立ってないで、早く本でも持ってこい」
ほんと、偉そうに!!
「なんであなたと読書なんてしなきゃっ――」
「――嫌なら俺の部屋で共に過ごしてもいいが?」
いつの間にか目の前に立っていたルイナードは、私の顎を押し上げて、眼差しで説き伏せようとしてくる。
息の触れ合う距離。色気ダダ漏れの切れ長の黄金色に真上から射抜かれてしまい――
気づけば反論を飲み込み、彼を押しのける勢いで本棚の方へとズンズン足を動かしていた。
部屋なんて⋯⋯ジョーダンじゃない!
「くくっ⋯⋯」
あの情熱的な一夜の残像を掻き消しながら、足音を立てて本棚の連なる通路の奥へ進んだ。



