吹き抜けの二階部分まで、棚の中に本がギッシリと詰まっているのは『少しやりすぎじゃない?』と思ったものの、階段やはしごが連なり、一応のところ手が伸ばせるようになっているらしい。
淡い色のステンドグラスとなっている天井からは、温かくてカラフルな日差しが注いでいた。
とても興味をかきたてられる空間だけれども、まず先に湧いたのは疑問だ。
「――ここは何?」
思い返しても、昔はこんな部屋はなかった。それに見たところ真新しいようだ。
「見てわからないか? 書庫だ」
早速本棚を漁っていたしなやかな後ろ姿が振り返る。
「――そういうことじゃなくて⋯⋯」
もどかしげに言い淀むと、鼻で笑いながら一冊の本を片手に彼は読書スペースへ戻ってくる。
「なんでもいいだろう。ここなら暇をつぶすことができると思い連れてきたまでだ。それともなんだ? 一日中、あの狭苦しい皇妃室で過ごしたいというのであれば、止めはしないが」
「ゔっ⋯⋯」と口籠っていると。
戻ってきたルイナードは、腰に添えていた大きな剣とホルダーをロココ調のソファへ投げて、当たり前のようにその対面へと腰を沈ませてしまう。



