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「はぁ――! お美しいです、アイリス様! サリー、ずっとこの日を、夢見ておりましたわぁ!」
「⋯⋯⋯⋯そ、それはありがとう。サリー」
ピクピクと頬がひきつる。
夕刻になると同時に、異様に張り切ったサリーに湯浴みに連れていかれて。戻ったと思えば、数人の侍女たちに囲まれて。
あれよあれよという間に――めかしこんだ自分が鏡に映っていた。サリーはその横で身体をクネクネさせて興奮気味。
そう――。結局、必死の抵抗は聞く耳を持ってもらえず、はじめてのディナーの準備が整えられてしまった。
うっすら塗られたおしろい、頬紅。白いフレアなブラウスにの上にワインレッドのドレス。蜂蜜色の髪が右に流れるように編み込まれてその中には赤いリボンが通っている。
自分でも「わぁ」とため息をこぼしそうになりつつも、慌てて唇をキュッと引き結ぶ。
ルイナードのために着飾る意味なんてないのに。
そう思いつつも、楽しげな侍女たちの手により最終チェックを施される。
「体調のほうはおかわりありませんか? ご無理はしないで下さいね?」
「⋯⋯大丈夫よ、問題ないわ」
本当のところ、睡眠不足と日中の疲れが重なって、すぐにでもベッドに潜りたいところだけど心配はかけたくない。
私は笑顔を貼り付けた。
「では、ルイナードさまがお待ちですので、参りましょうか」
「⋯⋯はぁい」
サリーの話だと、今夜のディナーは歓迎を祝して特別な席を設けているらしい。私は重い足取りで侍女たちと共に、ルイナードの待つ大食堂ホールへと向かった。
「はぁ――! お美しいです、アイリス様! サリー、ずっとこの日を、夢見ておりましたわぁ!」
「⋯⋯⋯⋯そ、それはありがとう。サリー」
ピクピクと頬がひきつる。
夕刻になると同時に、異様に張り切ったサリーに湯浴みに連れていかれて。戻ったと思えば、数人の侍女たちに囲まれて。
あれよあれよという間に――めかしこんだ自分が鏡に映っていた。サリーはその横で身体をクネクネさせて興奮気味。
そう――。結局、必死の抵抗は聞く耳を持ってもらえず、はじめてのディナーの準備が整えられてしまった。
うっすら塗られたおしろい、頬紅。白いフレアなブラウスにの上にワインレッドのドレス。蜂蜜色の髪が右に流れるように編み込まれてその中には赤いリボンが通っている。
自分でも「わぁ」とため息をこぼしそうになりつつも、慌てて唇をキュッと引き結ぶ。
ルイナードのために着飾る意味なんてないのに。
そう思いつつも、楽しげな侍女たちの手により最終チェックを施される。
「体調のほうはおかわりありませんか? ご無理はしないで下さいね?」
「⋯⋯大丈夫よ、問題ないわ」
本当のところ、睡眠不足と日中の疲れが重なって、すぐにでもベッドに潜りたいところだけど心配はかけたくない。
私は笑顔を貼り付けた。
「では、ルイナードさまがお待ちですので、参りましょうか」
「⋯⋯はぁい」
サリーの話だと、今夜のディナーは歓迎を祝して特別な席を設けているらしい。私は重い足取りで侍女たちと共に、ルイナードの待つ大食堂ホールへと向かった。



