白助と雅の一日

 白つつじ香る頃、白助は雅と結婚をした。小さな男で、雅の方が背が高い。黒い眼、黒髪で年齢は二十歳であった。
 白つつじは美しく神めいていた。間違いなく美しいかつての神が宿っていると思わせた。
 一輪、手の平に乗せて話をしたー。何と、私と結婚してくれませんかと言った。笑って、白助は白つつじを食んで愛し合ったそうだ。
 永遠に、愛して欲しかったわ。雅はそれを知らなかった。いずれ言うよと言った。知らないだろうに。君はの花の様に綺麗だよと、白助は思い悩んだ後一人呟いては泣いた。彼女は美女で、手が届く訳も無かった。その唇にも、その人には決してなり得ないと鑑みせる美貌にも。
 思えば、一度天国で呟いた頃、白つつじは思い悩んでいた。
 ヒトに恋に落ちたらヒトでいられるー?しかし叶わない場合があった。太陽に焼かれて羽根ごと焼かれて仕舞うんだ。本寧ー?白つつじは白い羽根を付けた姿をしていた。五億年前だ。
 浄安は極楽浄土で、彼女は最古の花の一員、目立たないが美しかった女だ。この世の天に至る事は無く、よく泣いて呟いていた女で、二十歳のミタマであった。浄安名はシロであった。
 羽根が焼き焦がれる何て考えた事も無かった。それは、気持ちが途切れた時に起こるそうだ。白つつじは眩しいわと言って一人笑っていた。焦がしてくれるのは太陽なのね。愛して、愛してよ。
 好き、でしたー。望みは拙く太陽に焦がれた美女白つつじは白助と言う男に恋をしたと笑われた。違うの。
 私は、本当に一度で良いからヒトと目を合わせて羽根があるんだよと言いたかっただけ。白助の物言いは淡々としていて、あの日の白つつじは美しく美貌女だったと雅に言いたかった。
 言わなかった。理由がある。何もかも極楽浄土のものだ。白つつじは、もういない。雅は白つつじでは無い。知っていたら、抱き止めて存在ごと消し去ってあげたいと思っていた。
 白つつじ、死後、浄土で白助と何の関係も無かった。雅と白助は夫婦だったと言う。そう言った神は太陽に焼き焦げると言うー。泣いて雅は、ご、ごめんー!そう、言うてかまどを焚いていたー。
 知らなかった。羽根の生えた五億年前の浄土の若い女のミタマが白助に恋をしていたとは。何と、一度太陽に焼かれた羽根のある類の神は、永遠に消えてしまうと聞いた。美し過ぎるからだそうだ。
 目が、何とあり得ないくらい美しかったと言う。最早泣いて、自分の汚さが骨身に沁みた。二人は只の、ヒトのミタマであった。
 羽根が生えていると言う事は、儚く、この世にはいる事も無く、花だと聞く。恋に落ちたら、たった一度だけヒトになる事が出来、汚され、挙句消えるそうだ。嗚呼汚かったわ。そう、言うそうだー。
 世界は醜かった。見るだけで羽根が弾け散るかと思った。そう、白助は雅には話したと言う。白つつじより美女はいなく、まさか、恋路に至たるは、白つつじの季節に似ていた。

 綺麗過ぎる神は、ヒトは、泣いて、散ると言う。花びら一つ一つとなりー、一日しか咲けない花となると言うー。思うんだ俺は、あってはならないって。
 美しいかんばぜ、たった一日で死に絶え、ミタマが無かったとすら言われるとはな。白助は泣いていた。心は無く、雅を愛さなくては何て綺麗事は、今日は言える気概など無かったー。
 話に寄ると、ミタマ無しの女が、花となって散ると言われている。神に抱かれ、愛されてなるのだそうだ。寿命は、一日だそうだ。