「柚惟ちゃんて無紙みたい」

そう言ったのはあれから数十秒後。 

「だって柚惟ちゃんの紙には一つのしみもないもん」 

紙……? 

「………」

私は少しだけ顔を傾けた。それに気付いた彼女は 

「ほら、例えばこの白い紙!この紙が柚惟ちゃんね。それでこの黒いボールペンは私」

彼女は何もかかれていない紙を少しだけ黒く塗り潰した。