冬休みに入ってすぐ、私は智子先生に呼ばれた。

「七海ちゃんが行きたい高校には、七海ちゃんの事情を話して面接も筆談でいいって言ってくれてるけど、やっぱり入学してからもコミュニケーションで苦労する事もあると思うの。だから、また
病院に行ってカウンセリング受けてみない?」

いつまでも、わがままは言ってられないんだと
智子先生の表情を見て思った私は諦め、しぶしぶ
病院へ行く事に決めた。

久しぶりに会う主治医は、俯く私を見て
嬉しそうに声をかけてきた。

「七海ちゃんに会えて先生嬉しいわ。
裕也君も七海ちゃんの事心配してたのよ」

「…ぇ」

小さな声と共に顔を上げると、主治医の優しい
笑顔が見えて自然と涙が零れ、忘れようとしていた名前を聞いた私の心は動揺していた。