「ねぇ七海……病院、行きたくないの?」

れいはまるで、子供の変化によく気付くお母さんのよう。

「せっかく声も出てきたんだし、またカウンセリング受けたら話も出来るようにかるかもよ」

【私もそう思う】

メモを書いて見せると、私達は顔を見合わせて
くすくす笑い合った。

「じゃあ、行きたくない理由でもあるの?」

【声を聞いてくれる人がもういないの】

「ん?声を、聞いてくれる人?病院に?」

下を向いて頷いただけなのに、
れいは何かに気付いた模様。

「ははぁ~七海……それは好きな人でしょ!?」

パッと顔を上げると、れいはニヤリと微笑み
私を見ていた。

【やっぱり!?】

「やっぱり!?って、わからなかったの!?」

今度は恥ずかしさで思わず下を向くと、
れいは少々呆れた様子で私の頭を優しく撫でた。