智子先生は、泣いていた蓮の背中を擦りながら
声をかける。

「よく戻ってきてくれたわね。」

少しずつ落ち着きを取り戻した蓮は、急に笑いながら明るく話し始めた。

「やっぱ、俺の帰るとこなんてねぇーや、ハハ…」

智子先生と心理士の先生は蓮の態度に危機感を
感じた。
物凄く悲しくて落ち込んで、それなのにわざと
明るく振る舞い辛さを隠し、全て投げやりになっているようにも見えた。

「みんな蓮の事が大好きだよ。みんないるから、
安心してここにいていいんだよ」

「………母さん、俺の目が嫌いなんだ…
俺は、母さんの事……ちゃんと見れないから…
腹立つんだろぅなぁ……」

今度は切なそうに涙を流して話す蓮を
智子先生は優しく抱きしめ、慰めてあげた。