「だめっ、離れちゃダメ……なの……」
「へ?」
せいちゃんが驚いた様な声を出した。
「その……顔が…赤いから……」
好きな人とこんな狭いところで至近距離でいたら顔なんて赤くなるに決まってる。
「ほんとだ。首まで真っ赤だね」
「う、うるさい……」
恥ずかしいからそういうことは口に出さないで欲しい。
「せいちゃん……もう離れていいよ?」
顔が熱いのがある程度治まったのでわたしはそう言った。
「え、やだ」
「やだって、恥ずかしいんですけど……」
そう言って、せいちゃんの上から降りようとした途端、新幹線が揺れてバランスを崩してしまった。
「おっ、と〜。危ない危ない」
気づいたらわたしはせいちゃんに抱き抱えられている状態になっていた。



