奏ちゃんが月に呆れながら注意した。
「あ、ごめんごめん」
謝ったのはいいもののせいちゃんの顔はまだニコニコしたままだ。
「はぁ……。こいつもダメだ。有季とキスしたのがよっぽど嬉しかったんだね、きっと」
奏ちゃんが見放すような視線をせいちゃんに向けながらそう言った。
(たしかに、さっきのキスは、思い出すだけでニヤニヤしちゃう……。)
「ねえ、有季?ニヤニヤしすぎよ?」
「ぁへぇ?」
「なによ、その変な声……」
わたしも今は浮かれているらしい。
「ねえ、莉華ちゃんに奏ちゃん。今日みんなおかしくない?」
春ちゃんが引き気味な顔でそう言った。
「わたしもそう思うわ」
「うん。僕も」
“プルルルルルプルルルルルプルルルルル”
せいちゃんのスマホに担任の先生から連絡が来た。
「はい、もしもし。……はい。……はい。……わかりました。今からみんなでそっち向かいますね〜」



