王女ちゃんの執事1『で・eye』加藤さん、きれいです。

「ごめんね。も、大丈夫だから――」
 笑う五十嵐に、かける言葉なんかあるか?
 おれも町田も男だから。そんなこと、気づけもしなかったこと。
「罰…だよね」
 母になる喜びに満たされていても、きっとつらいんだろうと思う女体の変化。つわりだ。
「死ぬまで忘れなきゃ……いいんじゃ、ね?」
 そっぽを向いてつぶやいたおれの胸に、どんとぶち当たってきた小さな身体。
 また泣き出した五十嵐の信じられないくらい細い腰に右腕をまわして。
 左手で町田の髪をわしづかみ。
 …ったく。
 なんで、おまえまで泣くよ。
 もらい泣きもできないおれは、どうすんの?

 ――はあ……――

 やっぱ、冷てえのか…な。おれ。