「だから?」
「…………っ」
 おれの冷たい声に、町田の大きく開いた目から、つるっと滴が落ちた。
 そんなもの、おれは涙だなんて言わせねえ。
「結局、傍観者なら、なにが見えたって関係ねえ。なにもできない自分の情けなさにむかついたおれの気持ち……。わかんねえよな、おまえには」

 誰も自分が無力だなんて知りたくねえんだよ。
 特に、自分のしたいこともわからないようなクズは。

 いつか、なにかが見つかる。自分にしかできないなにかが。
 そんなのは自分に対するごまかしだなんて、ほぼ18年も生きてりゃイヤでもわかる。

「ま。長生きしろよ」
 おれだって、それでも生きていくしかないんだから。