「どうぞ」
「……」
「どうしたの?受け取って?」
怪しみながらも、喉が渇いていた俺はそのコップを黙って受け取り飲み干した。
今考えれば今日この女はおかしかった。
わざわざ玄関まで迎えに来るとやけにジロジロ見てきていた。
そして普段なら絶対ねぇし、喉渇いた?とか訊いてこねぇのに飲みのんが入ったコップを渡してくるという行動。
コーラを飲み干した俺はやっぱりこの女と同じ空間にいることが耐えられずテレビを見るのは止め、自室がある2階へと上がった。
喧嘩で疲れた体をベッドに投げると、俺は自分の体の異変に気づいた。
「…ッ、何だっ…?」
体がおかしい、熱い。
気持ち悪い。
何かしたっけか?何をした?
何か変なもん食べ________コーラ…あの中に何か入っていた?
コンコンコンとふいに叩かれたドアはゆっくりと開かれていく。
「っ、入んな…」
「誠人くん体、どう?」
このクソ女ッ。
疼く体、声を振り絞ってコーラに何を入れたのかを問うと女は「お薬」と嬉しそうに答えた。
その気持ち悪い唇は弧を描いた。
薬って…マジかよ。
「ふふ、よく効いてる」
フッと笑ってベッドに横たわる俺に近づくと、女は馬乗りになった。
これから起こること、嫌でも分かる。
今まで女とそういうことをしたことがないってわけじゃない。
けど、この女とは絶対に無理だ、考えたくもねぇ。
俺の体動けよッ…言うこと聞けよ。
そう思っても念じても、自由がきかなくなった体は言うことを聞くはずがなく動かないままだ。
するとサオリさんは゛女の目゛をして口を開いた。



