『……』
ゴクリ_______生唾を飲んだ。
私はドアを背にして座っているから誰がいるなんて分からない。
だけど、こうすればそこに誰がいるかなんていやでも分かってしまうもので。
部屋の窓ガラスに反射して見えたのは______ドアの隙間から私たちが抱き合っているのを憎しみの瞳で見ているサオリさんだった。
コワイ、オカシイ、イカレテル?
窓ガラス越しに彼女と目が合ったような気がした。
『…っ』
私は慌てて誠人の肩に顔を埋めて呼吸を整える。
カタカタと震える私に誠人が気づいてないはずもなく、彼はギュッと抱く力を強めて耳元で「大丈夫だ」そう囁いてくれた。



