目だけを彼に向けてみれば彼も私を見ていて、先に逸らしたほうが負けという謎の勝負が始まってしまい何故かしばらく見つめ合うという形に。



私も逸らさない。


彼も逸らさない。



両者譲らず1分は見つめた頃、恥ずかしさや照れなどが出てきてしまい、いよいよ逸らしたくなってきた。



早くそっちが逸らしてよ!



そう思っても彼は逸らさずジッと見つめてくる。



あぁ、通り過ぎる人たちの視線が痛々しい。



こうなったら…





『誠人…遅れる』





色っぽい声色、少し目を細め口は弧を描き綺麗に笑う、握られた手にキュッと力を入れて繋がれていないほうの手で誠人の大きな手を包む。