「…ん……」


飯の…匂い…?


「…んぅ」


眠ぃ…後5分だけ。



『誠人ー7時だよ。起きないとこりゃ遅刻だね〜』

「起きるっつーの…」



て言っても眠いもんは眠く、二度寝をしたいほど。

しかし、社会人としてそんな甘えたことは言ってられず、怠くて重い体を起こしてノソノソと着替えていく。



『起きないと朝ごはん抜___なんだ起きてんじゃん。おはよう見事な裸族』

「…ん」



裸族じゃねーし…とは反抗しない、実際俺は寝るとき絶対パンツ一丁で眠るから。


閉じてくる瞼を擦って開ければ目の前には美味しそうな朝ごはんが並んでいた。


俺の好きなもんばっか、今日は洋風か。



「ふぁぁ〜〜〜あ」



大きな欠伸を1つして椅子に腰掛け、端のサラダから食べていく。


ん…美味い。

やっぱ沙夜が作る飯はどんなものでも美味い。


他の奴が作るのも一口口にしたり、レストランやその他飲食店ももちろんのこと美味しいが、やっぱり沙夜が作るものには勝てないななんて思う。


レストランや飲食店には悪いけど。



それに…



『そんなーに美味しい?』



此奴は言わなくても伝わってる。



『やっぱ彼女が作るものは美味しいよね~』



言葉にして伝えなくても俺の表情で沙夜にはわかるんだ。

俺が美味しいって思ってる事。
沙夜の料理には誰も勝てないこと。



『さっすが私よね』



自信満々なことは悪くないけど、これがたまに傷だな。

謙遜って言葉知ってるか?と問いたくなる時がたまにある。



「なぁ沙夜」

『なに?』



だから…



「沙夜より美味い飯作るやついたわ」



___たまにはイジメてみようと思ったり。




『は?誰、誰よそれ』

「んー?内緒」



少し不貞腐れながら問う沙夜が可愛いだなんて不覚にも思ってしまう。




『……なにそれ。浮気?』

「は?」




いや、なんでそうなる。
なんで浮気だなんて単語が思いつくんだよ。




『浮気でしょ!浮気だろ!ぜーったい浮気だ!!』

「しつこ」

『浮気だー浮気だー。こぉんな可愛くて仕事も家事もできてしまう性格のいい彼女様がいるのに浮気だなんて最低だ~』

「おい」




こいつ自分のことすっげぇ言い方したぞ、おい。


しかも「う!わ!き!そぉれ浮気おーとこ!」なんて変なことまで言い出した。


これ…此奴に憧れてるデザイナーが見たりしたら幻滅もんだろ。