沙夜が卒業して4年、現在沙夜は22歳にしてファッションデザイナーというきびしい世界で必死に頑張っている。
と言っても、20歳のときにデザインの全国大会で見事優勝し、奇跡が起きてパリコレにも認められて、パリコレのモデルが沙夜の服を着てランウェイを歩いた。
それからというもの、想像通り沙夜の奴は色んなとこから注文が来たりコラボの依頼などで引っ張り凧だ。
これを時の人と言うんだろう。
___俺は、建築士として頑張っている。
卒業後、正一さんの元で学び、人脈を広げ誰かのってわけじゃないけど、時間を見つけ家の設計したものを見てもらったりしている。
沙夜ほどではないけど、俺もそういう才能はあるらしく、自分で言うのはなんだが周りの人は俺のことを認めてくれている。
と、まぁ…俺と沙夜の卒業後の話はここまでにして。
俺は絶賛悩んでいる。
「はぁ…お前も俺が言うの待ってるよな…」
俺は隣で寝る沙夜の頬を撫でながら呟いた。
沙夜は待っている俺が言ってくれるのを。
沙夜はそういうのを俺に押し付けたくないのか、自分からはその話を中々しない。
だけど俺は知ってんだからな、お前が望んでいること。
「知らないとでも思ってんのかよ」
はっきり言ってバレバレなんだよ。
我儘言ってみればいいじゃねぇか。
子供欲しいだの、大きな指輪が欲しいだの思ってることを俺に向かって言えよ。
俺だってな、我慢してんだよ。
言いてぇけどまだ言えねぇんだよ。
まだお前には届いてねぇ…及ばねぇからな。
男より女が稼いでるってなんかカッコ悪いだろーよ。
「だからさ…もうちょっとだけ待っててくんねぇかな」
沙夜が泣いて喋れなくなるくらい最高のものくれてやるからさ。
「おやすみ」
俺は沙夜の額にキスを落として深い眠りについた。