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「触んな」

『……』

「声掛けんな」

『……』

「花ぁ?いらねーよ」

『……』

「おい邪魔だ」

『いい加減にしなさい!』



あーもう!晴れ舞台だってのに何でこんなことになってんのよ!



おめでとうございますと言ってくれて握手をしてくれた男の子。


卒業おめでとうございますと可愛い笑顔をくれた男の子。


花をあげようとしてくれた女の子、何かを伝えようとして邪魔扱いをされた男の子にその他もろもろ!



誠人のせいで皆ビビッて逃げてった!

私の卒業式で花道だというのに。



再び誠人と付き合って、誠人が魑櫻の頭になってから何故か私に人生最大のモテキが来た。


いい意味でも悪い意味でも。




それに少しずつだけど誤解も解けて言ったし。


それで私と仲良くしようとしてくれた女の子も男の子も出てきたんだけどさぁ…誠人が全て排除しやがった。




「沙夜ちゃーん」




声のした方に振り返れば懐かしい顔が揃っていた。




『リンさん!』

「卒業おめでとう」

『ありがとうございますっ。ヨウスケさんもトミ君たちも来てくれたんだ!』



ヨウスケさんはユカを祝いに来たんだって知ってるけどね。



ユカとヨウスケさんは8ヶ月前から付き合い始めて今でもラブラブ。


トミ君たちは魑櫻の兵隊で私が特に仲のいい友達。





『ねぇ聞いてよ。コイツおめでとうって言ってくれる人全員追っ払うんだけど』

「ハハッ!誠人をコイツって言って毛嫌ってる沙夜ちゃんサイコー!」




いやリンさん、笑いごとじゃなくてですね。




「“λυκος ”にそうやって言える女性は沙夜さんくらいですよ」




て、トミ君は言うけれど今はそんなこと関係なくてね、誠人の行動が問題で。



「いつものことだろ」



て言ってるそこのアンタ!それおかしいからね!?



『いつものこと?いつもより酷いじゃん!あの花束可愛くて欲しかったのに!』

「花なら俺が買ってやる」

『当然よ!』

「帰ったら飯作って」

『その前に買い物』

「チーズ入りハンバーグと和風ハンバーグ食べてぇ」

『我儘か!』

「食べてぇ」

『分かったわよ』




そんな私と誠人のやり取りを見ていたリンさんたちは…。



「沙夜ちゃんたちマジ熟年夫婦みてぇ」

「誠人さん、俺が卒業したら結婚するって前に呟いてましたよ」

「マジかよ。仕事はどうするって?」