【リンside】
沙夜ちゃんからの電話が終わるとヨウスケを見てユカちゃんを呼べと命令した。
「別にいいけど。何でだよ急に」
それを訊いちゃうかぁ…まぁ俺も詳しいことは知らねぇんだけど。
「別れたらしい。で、しばらくの間俺んとこに住まわせて欲しいってさ」
「はぁぁ?別れた?」
「詳しいことは知らねぇよ。とりあえずユカちゃん連れて来いよ」
もう一度言うとヨウスケは腰を上げバイクのキーを持つと部屋を出ていった。
何故ヨウスケにユカちゃんを迎えに行かせるか?
それは2人がいい感じだからだよ。
ナンパから助け、初めて2人に出会った日からヨウスケはユカちゃんと連絡を取り合っていて何回かデートにも行っているらしい。
ヨウスケはユカちゃんのこと好きっぽいし、ユカちゃんもヨウスケのことは嫌いではないみたいだから脈なしではない。
まぁ早くくっついてくれることを祈る。
そして俺も彼女を作らなきゃいけねぇ。
連合の魅王の元総長である東志郎と言う男と競っているからな。
でも、アイツすっげぇ好きだった女が結婚しちまったからまだ心の傷癒えてねーし、しばらくは恋愛できねぇかもな。
ヨウスケがユカちゃんを迎えに行って10分経った頃ヨウスケの単車の爆音が聞こえ部屋を出ると後ろにユカちゃんを乗せて帰ってきた。
まず自分が先に降りてユカちゃんを降ろしてあげる姿はジェントルマンだ。
早く付き合えばいいのにな。
ユカちゃんもすっげー嬉しそうな顔してんじゃんか。
そんな2人から目を離してスマホを取り出すと、沙夜ちゃんの番号に掛けて耳に当てると「もしもし」と少しだけ弱気な声が俺の耳に届いた。
「ユカちゃん来たから入ってきていいよ」
“分かりました”
と言って沙夜ちゃんは3分後倉庫の前に姿を見せ、ユカちゃんを視界に入れると安心したのか走り出して抱き付いた。
ユカちゃんも「よかったぁ」と言葉を零し安心しているとこを見ると、相当心配してたようだ。
それもそうだよな、なんたって親友が目の前で連れ去られて心配しないわけがない。
ユカちゃんはチラッと俺の方を見るとそこに行ってもいいのかと確認しているようだ。
「上においで」
ヨウスケの後を付いてきて上に上がってきた2人を部屋の中へと入れた。