ちゃんと助けることもできて、心の傷は俺がこれから時間をかけて癒していくはずだった…なのに。
「今日何かあったんだろ?」
兄貴にそう言われ、今日合ったことを全て話した。
すると兄貴は何かを考え、溜め息を吐き、馬鹿野郎と言い放った。
「誠人、お前にはねーんだよ」
「何がだよ」
「力だよ」
「力…」
「お前は今どこにも属してねぇ。だから沙夜ちゃんをデカいもんから護れる力がねぇ」
「……っ」
言われて気づくってーのはこういうことか。
俺が力を持つ方法は…。
「力を手にする方法、すぐ近くにあるだろ」
そう言った兄貴に口角を上げて笑うと「あぁ」と返してリビングを出た。
デカい力は凄い力はすぐ近くにあったじゃねぇか。
沙夜は俺が護る。
もうあんな思いさせたくねぇし、させねぇ。それに俺だってあんな思いは二度とごめんだ。
沙夜に危害を加える奴らは全員この手で埋葬する。
その為には…。
俺はポケットからスマホを取り出しすと、“アイツ”に電話を掛けた。
「あぁ、俺だ」
“___…”
「まぁな。なぁ…アレってまだ有効か?」