“どうするの?”
『どうするって?』
私に問いかけるのは、誰?
“同じことになりたくないでしょ?”
『同じこと…』
“そう。そうなりたくなかったらカヨの言うとおりにするのが賢明ね。”
私は誰と話をしているの?
『別れたくない。離れたくない』
“なら今度こそアンタは大切なものを奪われる。”
『…っヤダ』
“そう。私だって嫌よ。汚い男にヤられたくない。”
何言ってるの?なんでアンタが嫌なのよ、なんでそんな風にいってるの。
『アンタは、誰?』
“私は___アンタよ。”
目の前に現れたのは“私”だった。
“《同じこと》になりたくなかったら私の言うことを聞きなさい。相楽…いいえ、福澤沙夜。”
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『___…っ‼』
バチ‼っと音が出そうなくらい勢いよく目を開いた私の目に入ったのは白い天井、だと思う。
上も下も右も左も曖昧な今、頭が素早く回転もせずフラフラとする。
十数秒たってようやく安定してきた脳内、視界、ようやく起き上ると辺りを見回して分かったのは…ここがどこで誰の部屋なのか分からないということ。
とりあえず私は助かったようで、あのボロアパートにはいない。
ここはどこで誰の部屋なんだろうか。
この部屋を出ることのできるドアを見つめていたらそのドアが開いた。
開くと思っていなかったため予想以上に体がビビり、大きく跳ね上がった。
「あ、起きたか」
『リン、さん…』
入ってきたのはリンさんで、外に向かって「起きたぞー」誰かに告げると中に入って向かいのソファーに腰を掛けた。
私の隣は座れないよね、なんたって私がこのソファー占領しちゃってますから。
ドタドタだかバタバタだか、とにかく大きな足音で近づく者は誰だか分かりきっていて、私は夢のこともありギュ…と手を握りしめた。
「沙夜!」
『誠人っ』
私から抱き付けば安心したように抱きしめ返してくれた。
「悪かった」
そう言う誠人の声はとても苦しくて、悲しくてこっちまでそんな気持ちにさせられる。
『謝らないで』
「沙夜…」
『誠人は、助けてくれた』
「……」
『ユカが、教えてくれたんでしょう?』



