____ピコン
『…ん』
___…ピコン、ピコン
「んんっ…」
______…ピコンピコンピコン
『うるっさ…』
たく、一体誰よ…ていうか何時よ。
ベッドサイドに置いてある時計を見ると午前5時。
この時間帯はまだ眠っている時間であり、その時間帯にLINEを送ってくる奴は知ってる中では2人しかいないのだけど、以前にもこんなことがあった…ということは。
『やっぱり』
コイツしかいないですよね。
つか、何このLINE。
スタンプのみじゃん。
“おはよう”“起きろ!”“起きて!”“またつまらぬものを切ってしまった”
いやいやいや、最後のスタンプいらない。
いらないっていうか、意味が分からない。
ねぇ、これって起きてたら返事返せって言ってんだよね?
“消されたいの?”
と送ってやると“俺がいなくなったら沙夜が泣くだろ?”とアホなことが返ってきた。
あ、そうだ。
『今日何時に来る?朝ご飯食べてく?っと』
そう送信して待つこと数十秒。
ピコン!と音を鳴らしてケータイが震えた。
受信した言葉は「7時くらいに行く。食う」と書いてあって、またピコン!と送られてきた。
それには___…
『ふっ…ははっ』
本当独占欲が強いっていうか、獣みたいに餌を取られないようにするみたい。
“取られねぇよーに牽制するわ。”
ほんとに狼みたい。
それまで準備するか、と重い腰を上げて身支度をしていく。
怠かったけど誠人が行くなら行こう、なんて思わずに今日は本能に従ってサボればよかったとのちに思うことになってしまう。
____ピンポン
とチャイムが鳴ったのは7時過ぎ、指定した時間通りに来た。
パタパタと玄関に近づいて扉を開ければ愛しの彼がそこに立っていて、朝から好きな人を見れるって幸せだなぁってつくづく思う。
家の中に招き入れるとリビングへと連れていき椅子に座らせる。
お母さんには誠人がご飯を食べることは伝えてあったからいいんだけど…正一さんには言うのをすっかり忘れてしまっていて、今目の前ですっごい固まっている。
ビックリしすぎててミニトマトを落として皿の上をコロコロと転がってしまっている。
落としたのが皿の上でよかった、床の上だったら食べられないもんね。
「君は…沙夜の彼だよね?」
「はい。ご挨拶が遅れました。彼氏の北条誠人です」
と正一さんに自己紹介をした誠人。
そんな2人の間に割り込んだのはお母さんで「誠人くんすっごくカッコいいでしょ?しかもいい子なのよ~」と褒めまくっている。
そんなお母さんをに正一さんは嫉妬して拗ねてるし、誠人は爽やかな笑顔で「ありがとうございます」なんて返しちゃってるし。
こんな猫被る誠人久しぶりに見たな。
今にも笑っちゃいそう。
クツクツ笑いが込み上げるのを我慢しすぎて肩をプルプルさせていたら「笑ってんじゃねーよ」と隣から低く小声で言われた。
『ねっ、もう早く食べよ』
私がそう言ったことでやーっと食べ始めた。
早く食べないと遅刻する。



