その瞬間素早く離れた彼に笑った。
ようやく揚げることができ、4種類ほど素揚げするとスープカレーの入った茶碗に盛り付けていく。
『できた』
完成したそれを見て満足感が出てくる。
「沙夜」
ふいに呼ばれた名前。
声のした方に振り向くと、
「サンキュ」
チュッと音をたてて触れるだけのキスをされた。
まさに不意打ち。
これは大きな反則行為だと思う。
『……とりあえず運んで』
何もなかったかのような態度で言うと、ムスッとした誠人。
ブツブツ言いながら自分の分を持ってリビングに歩いていった。
ありゃりゃ、完全に拗ねてますね。
なんて私は想いながら自分のスープカレーを持ち、後を追う。
テーブルの上に置いたとき「誠人」と彼の名前を呼んだ。
「なんだ___…っ」
何かを言おうとした彼の口を塞いだもの、それは私の唇。
『仕返し』
と言って麦茶を取りにキッチンへと戻った時、
「あんのっ…小悪魔め…」
誠人がそう言っていたなんて私は知らない。