そうと決まった後の行動は早かった。


すぐにお母さんに電話をして今日誠人の家に泊まる許可を得て、下着と次の日着るシャツを買い北条家に足を運んだ。



誠人と付き合ってから何回か家にお邪魔しているものの、今日ほどドキドキしながらお邪魔した日はない。


今日は心臓が壊れそうだ。



「夕飯どうするか?」



リビングでくつろいでいた時誠人の口から出た言葉。

夕飯か…できることなら。



『作ろうか?』



私が作った物を食べてもらいたい。


「マジで?」


そう言って少し照れてる様子の誠人にどうすんの?と訊けば「食いてぇ」と言ってくれた。



「カレーな!カレー!」



そう言う誠人は無邪気な子供のよう。



ただのカレーだとなんかつまらないので「スープカレーでいい?」と訊けば「スープカレー食いてぇ!」と目をキラキラさせた。


ふふ、犬みたい。
耳としっぽが見えてきそうだ。




『じゃあテレビでも見て待っといて』

「おう」

『冷蔵庫の中身使っていいんだよね?』

「ご自由にどうぞ」



誠人はそう言ってテレビに向き直った。

私は冷蔵庫を漁って必要な野菜を出して適当な大きさに切っていく。



これは秘密なので教えることはできないけど相楽家特性スープカレーを作る。



鍋の中からするのは美味しそうなカレーのスパイシーな匂い。



スプーンですくって1口…味を確認する。
うん、美味しい。



後は切った野菜たちを揚げるだけ___と油の入った鍋をIHの上にセットしたときお腹に違和感が。



『ちょっと誠人』



その違和感はお腹に回された誠人の腕。

側から見れば誠人が後ろから抱きしめているという光景。




「美味そう」

『まだ完成してないよ』

「何?それ揚げたら完成か?」



それというのは野菜たちのことで「素揚げしたら食べられるから」と言ってるのに離れようとしない誠人。


離れてくれないと動けないんだけどな。
料理中にこういうのは危ない、あと油使ってるし。



『この手放して、どいてくれないと』



もうこれは最終手段。



『飯抜き決定かな』