「沙夜ちゃん、その…敬語辞めないか?」
『え、でも…』
「俺はもう君の父親になるんだ。難しいかもしれないけど少しずつでいい、敬語を外してくれないか?」
『……分かりました。じゃあ私からも1つお願いしていいですか?』
「あぁ」
『“沙夜”って呼んでください。ちゃん付けって慣れないので』
苦笑いしながら言えば正一さんは「そんなことか」と言ってさっそくちゃん付けを無くしてくれた。
やっぱり“沙夜”と呼ばれる方がしっくりくる。
朝ご飯を全て食べ、歯を磨き髪の毛を整えたり身だしなみをチェックして玄関でスカートを2回曲げると背後から「沙夜」と正一さんのものではない低い声が私を呼び止めた。
振り返らなくても分かる。
たく、一体何の用なのよ。
振り返りもせず用があるのかを訊くと千也は少しムッとした声で「こっちを見ろよ」と言ってきた。
それでも向きたくない私は意地でも前を見て用を問う。
「はぁ…」
溜め息を吐きたいのはこっちだ。
「送ってやる」
『……結構です』
「チッ…」
何を言うかと思えば…。
なんかこの男に送られたくなかったため断りの言葉を言えば、舌打ちをされ___無理矢理腕を引かれて車の中に押し込められた。
『いった…何すんのよ!』
「お前が大人しく送られようとしないからだろ」
いや私のせいじゃないじゃん!?
私めっちゃ断ってたじゃん!それをアンタが無理矢理。
もうこの男本当嫌だ。
車はすぐに発進してしまったため、もう降りることなんて不可能な話で、このまま大人しく送られることにした。
学校近くのコンビニで降ろしてもらえばいいか。
窓の外を見れば変わる変わる景色。
ここら辺は初めて見るな…道覚えとこ。
道を覚えようと外を眺めてると横から声が。
「なぁ」
『何?』
「昨日のこと怒ってんの?」
昨日?え、何どゆこと?
意味が全く分からず窓に向けていた顔を運転席に向ければ首を傾げる。
「押し倒したこと怒ってんだろ?」
『別に…』
なんでそう思ってんのよ。
怒られると思うんならやらなきゃ良かったのに。
「だってさっきから俺と目ぇ合わそうとしねぇじゃん」
『今合わせてんじゃん』



