私の部屋がこれだけ広くて凄いんだから、千也の部屋だってきっと凄いに決まってるわけで。
じーっと千也を見る。
「んだよ」
『あんたの部屋に入ってみたい』
そう、それは興味。
千也は一瞬固まったものの、すぐにさっきの千也に戻り軽い口調で「あぁ、来いよ」と私の腕を引て向かいにあったドアを開いた。
目の前に広がったのは私の部屋と同じ10畳なんけど、シックな感じになっている。
私の部屋はあんなふわふわした部屋なのに。
それに!しかも!
『私のベッド、セミダブルなのにダブルベッドじゃん!』
ちょっとでも大きいベッドって羨ましすぎる!
いや、セミダブルも十分なんだけどね。
羨ましさに千也のベッドにバフンと飛び込むと、肌触りのいいベットに頬を摺り寄せた。
ん~気持ちいい、このまま眠っちゃいそうだ。
フワフワなベッドに癒されてると背後に何か近づく気配がして、振り返った時には千也に覆い被さられてる状況だった。
『何、してんの』
「男の部屋に入るって意味分かってだろ?」
熱を帯びた瞳で私を見下ろして言う千也は、私に欲情している。
ようやくこの状況がマズいものだと理解した。
ねぇ、何言ってんの。
本気で言ってんの?
ねぇ私をそんな目で見ないでよ。
アンタまでそんな風に見ないでよ!
私は___…
『私はそんな女じゃない!』
もう泣く寸前。
喉元まで迫っていたものが溢れ出ようとしていた。
嫌だ…怖い。
「んだよ。噂は嘘って言いてぇのか?」
確かにあれは遊んでい内に入るのかもしれない。だけど…だけど。
『私のこと何も知らないくせに、知った風に言わないでよ!!』
我慢していたものが一気に崩壊した。
頬を伝うものは容赦なく流れ続ける。
ふざけんなっ…ふざけんな、ざけんなッ。
ちゃんと付き合ったって流れた噂が消えることなんてない。
自分で蒔いた種でもあるのに…こんなに辛い。
「泣くほどかよ」
千也は私が演技をしていると思っているのか、フッと鼻で笑って言った。
「なぁ…マジなのかよ?」
それでもボロボロに泣き続ける私を見て本当なのかもしれないと信じ始めた千也。