『苦しいんだって』


そう言えばパッと離れ「おめでとう」と笑顔で言った。



『??』



ユカの言ってることが分からず首を傾げればあり得ない、というような顔で見られ「北条可哀想に…」と手を合わせて呟いている。



あーもう嘘だって、そんな顔しないでよ。




『ちゃんと覚えてるよ、私と誠人の1ヶ月記念日でしょ?』

「なんだ覚えてるじゃない」

『そりゃあね』




で、何かするの?と訊かれたけど別に何も考えてないし…何かするもんなの?



それによりによって今日は外せない用事があるんだよね…。







____________…


ポケーッとしてた私、食事会のことを考えすぎてしまい授業内容が入ってきていない、正しくは聞いてすらいなかった。



まぁ、先生たちもそれを注意してくれないからそうなっちゃうんだけどね。




「規律、礼」

「さよなら~」




と放課後迎え、散り散りに生徒が去っていく。


私も下駄箱に行くけど誠人のクラスはまだ終わってないらしく靴を履き替えて誠人を待つことに。



「沙夜~」



すると靴に履き替えるユカが声を掛けてきた。

それはそれは顔の筋肉を緩めて。




「お昼言ったこと、ちゃ~んと訊くんだよー?」

『ばっ…バーカ!』




意地悪な顔で去っていくユカにそう言う私の顔は、とても赤いことだろう。



そう、それはユカが言っていたお昼時間の時のせい。



お昼、私は誠人抜きでユカと食べていた。
その時に突然ユカは言ったんだ。




「沙夜ってまだ一線越えてないでしょ」




と…余計な言葉を。

場所が教室じゃなかっただけマシか…多分ユカはこれを言うために人気の少ない中庭に連れてきたんだろう。


ユカの余計な言葉のせいで飲んでいたジュースを思いっきり吹き出せば、「汚いッ」と言われたし…全く、今日はよくもまぁ噴き出す日だな。



「で?」



で?じゃないよ。
はいはい私はまだれっきとした処女ですよ。


だって、



『誠人が手出さないから必然的にそうなるじゃん?』



そういうことなのだ。

1ヶ月経とうとしているのに誠人はまだ手を出してこようとせず、深いキス止まり。



けして欲求不満ではない、かと言って触れてほしくないわけでもない。

もう触れてほしいんだけどね?