なんて意地悪な考えをするも、もちろんそんなことしない。


だって、いつだって女って生き物は好きな人の前では1番に輝いていたいでしょ?



『じゃあ私もう行くね』



誠人から着いたってLINEが入ったから行かなくちゃ。



「行ってらっしゃ~い。くれぐれも目移りしちゃダメよ?」

『??』



どういう意味よ?
ていうか目移りなんて死んでもしないわよ。


だって私には…



『誠人だけだから』



そう言えばお母さんは満足そうに微笑んで、再度いってらっしゃいと言って私を見送った。



エントランスに着けば、外に誠人が待っている姿が見え自然と頬が緩んだ。



この光景も慣れたものになってしまった。

けしからん、こんな緩みきった顔見せらんない。



キリッっとした顔に直すと誠人の名前を呼んで歩み寄った。



“おはよう”と言えば“おはよう”とカッコいい笑みで返した誠人に朝から胸キュン。



さり気なく手を繋いできて歩き出した誠人に、またドキッとした。


学校が近づくにつれて刺さる視線が多くなるけどそれもすぐに慣れた。



誠人と付き合って早1ヶ月が経つのだけれど、周りの人たちはまだ慣れないらしく、嫉妬や舌打ちなどを私に浴びせてくる。



痛くも痒くもないけど鬱陶しくて堪らない。


今日も鬱陶しいものを浴びて教室に入ればここでもうるさい奴等が…。



「いい加減別れろよ」

「北条くんの弱み握って付き合ってんのよ」

「金渡して付き合ってるて噂~」




おいおいお嬢ちゃんたち、しっかりと聞こえているのだけど?

いや聞こえるように言ってるんだろうけど。


私は誠人と別れないし、弱みなんか握ってないし?


誠人の弱みっていうか過去は知っているけど、それ解決したの実際私だし、誰が金なんか出してまで付き合ってもらうんだっての。



溜め息を零しながら席に着くと背後から“何者かが”抱き付いた。


抱き付くのなんて1人しかいないんだけどね。


『ちょっとユカ』