確かに色んな男の子と歩いてるのは見たことある。
沙夜は隠してたつもりみたいだったけど。
だけど原因が中学3年の時だって知ってるのよね。
ちゃんとしたことは分からないけど、中学3年の時に何かあったのは確かだから。
あのとき沙夜の様子が可笑しくなって…噂が流れるようになった。
何故わけを訊こうとしなかったのか?
訊かなかったんじゃない…沙夜の雰囲気が訊かそうとしてくれなかった。
それほど知られたくなかったんだと思う。
そのことを___恐る恐る正一さんに話したの。
受け入れてくれるのか、拒絶するのかを…試したの。
だけど彼は、
「噂は噂だ。沙夜ちゃんは瞳の娘だ。悪い子じゃないだろう?」
そう言って受け入れてくれた。
それが嬉しくて嬉しくて泣いちゃった。
不細工な泣き顔見せちゃったけど、正一さんは微笑んで黙って胸を貸してくれて、それがまた嬉しくて泣けたのを覚えてる。
それを思い出してまた泣きそうになった私を見て正一さんは「それは嬉し泣きか?」と訊き「もちろんよ」と答えた。
あぁ、本当年とって涙腺緩んじゃってる。
それにしても、初めて息子さんに会うのね。
今までは何かと都合が合わなかったから。
ねぇ沙夜?私、今度はちゃんと幸せになれる。
沙夜に、もう父親がいないって寂しい思いなんかさせない。
父親がいるという嬉しさ温かさを教えてあげられる。
兄がいる大きさを教えてあげられる。
沙夜はきっと正一さんと息子さんと仲良くなれるわ。
それは母の勘。
【相楽 瞳side end】