【相楽 瞳side】
12時頃に家を出て12時半に待ち合わせの場所であるカフェに入ると彼はすでに来ていた。
約束の時間は1時でわざと30分早く来たのに彼はいる。
いつもそう。彼は私を待たせてくれない。
いつだって私を待ってる側にいる。
だから一度だって彼を待ったことがない。
「正一さん久しぶり」
と言っても前会ったのは1週間前。
福沢 正一私の2つ上で建築会社社長を務める素敵な男性。
彼と出会ったのは2年前、そして付き合ったのは1年前。
結婚前提の告白を受けたときは大泣きしてしまって大変だったな、と思い出す。
「瞳、何食べる?」
私が席に座るとメニューを見せてくれた正一さん。
こういうところもスマートで素敵でカッコイイの。
惚れ惚れしつつ、注文した後私たちは他愛もない会話をした。
沙夜の話、正一さんの1人息子の話。
正一さんの息子は20歳の大学2年生。
名の知れた大学に通う息子さんの写真を何度も見せてもらったけど、何度見てもイケメンだわ~とうっとりする。
もちろん沙夜の彼氏、誠人くんもイケメンよ?
イケメンだけど、息子さんは爽やかイケメンて感じね。
だけどこれだけは言えるわ、爽やかイケメンくんには裏の顔がある。
女の勘ってやつかしら。
それはきっと女遊びがちょーっとあったり、腹黒かったりするんだと思うけど、そんな人間も嫌いじゃないわ。
この世には色んな人間がいていいじゃない?
「ねぇ正一さん」
「何だ?」
「今度、息子さんと沙夜の4人で食事に行きましょう?」
「あぁ、そうだな。私も沙夜ちゃんに会ってみたい」
正一さんがそう言ってくれることは心の底から嬉しい。
いつだったか、確か半年前だったと思う。
沙夜のあの噂は知っていた。
沙夜はそんな子じゃないのに、それを知ってしまったときはとても悲しい気分になったのを覚えてる。