体を離して至近距離で沙夜を見つめると、その瞳に俺の姿が写り込む。
こんな顔、昔の俺じゃあ想像もつかない。
沙夜に絆されちまった。
「沙夜」
『誠人?』
「俺から離れんな」
『…うん』
「護るから」
『……』
「護れる距離にいてくれよ?」
『ん…』
「沙夜」
『何?』
好きだ___とは言わない。
俺の中で゛好き ゛ではなくなっているせいかもな。
俺の中で…俺は沙夜のことを____
「愛してる」
これ以上ない最上級の愛を捧げる。
「一生愛してる」
軽く口付けをしてそう言えば頬を染めた沙夜。
そしてそれは少し遠回しのプロポーズ。
_________…
『はい、これ』
「ん、さんきゅ」
キッチンからマグカップを2つもって戻ってきた沙夜は1つを俺に渡して隣に座った。
カップの中身は温かいココア。
ふーふーと息を吹きかけ少し冷ますと口に流し込んで喉を通っていく。
ココア特有の甘さが口の中に残るがその甘さがちょうどいい。
『甘いの好きでしょ?』
「まぁな」
『それ、溶けちゃったけどマシュマロ入り』
だからか、いつも飲むココアより甘さを感じたのは。
カップをテーブルの上に置くと沙夜も一度口付けたため同じように置いた。
そして今人気上昇中のモデル兼俳優の御幸明生という男がテレビに映し出されてトークする様子を見てる。
「御幸明生、ね……」
何がツボにハマったのか、たまにフフッと笑みをこぼす沙夜。
芸能人と言えど、俺以外の男を食い入るように見る沙夜に少しムッとして「沙夜」と名前を呼びながらソファの上に押し倒した。
『ちょっと、何?』
テレビ見てるんだけど、と押し倒されてるにもかかわらず沙夜の意識は俺に向いてない。
そんなにあのチヤホヤされまくってるナルシスト野郎がいいってーのかよ。
『ねぇ、誠人……』
「他の男に熱い視線送ってんじゃねぇよ」
『テレビなんだけど。芸能人なんだけど、まさか嫉妬してんの?御幸明生に?』
「……俺は嫉妬深いっての知ってんだろ?」
『知ってるけど』
「今の芸能人よりいい男知らねぇか?」