【北条誠人side】


キッチンに立つ沙夜を見て、何故だか正式に付き合って2人で学校に行った時のことを思い出した。





___いつも通り6時には起きて、7時半くらいには家を出て8時頃には沙夜のマンションの前にいる。



ここで前と変わったのはバイクで来るという事。



バイクで沙夜んちまで来てマンションに置いて歩いて登校。

そして放課後はバイクに乗って出かけたりしてるってものあるけど、1番は少しでも長く沙夜とくっついていたいからっていう単純な理由。



こういうこと言ってる俺キモイな。



で、沙夜と登校した俺は少しばかり心配ばかりしてた…また呼び出されて何かされるんじゃないかとか、俺の見えないとこで陰湿ないじめ受けるんじゃねぇかとか。



リンに頼んであのメール送らせたけど、中には信じない奴もいるだろうから。




『誠人』


「……」


『誠人?』


「ん?あ、何?」


『私もう行くよ?』




そう言う沙夜に「じゃあな」と頭をポンポンとして別れた。



沙夜と別れ1年の教室に向かう俺に刺さる視線とヒソヒソ話。



それは男女問わず。



教室に入れば集まる視線。



その視線は何かもの言いたげなものばかり。



だけど俺は気にせず自分の席へと足を動かす。



椅子に腰を下ろせば「なぁなぁ誠人」とニヤつきながら近づくユウ。



俺にも男友達くらいはいるもんで、沢山てわけじゃねぇけど。



特にユウはそん中でも1番のダチっつーか、悪友。


中学からの付き合いで俺の1番の理解者。




「んだよユウ」


「ようやく、一本だな」


「手放さねぇよ」


「うわっ、ゾッコンかよ」




キモイと言うユウに舌打ちをする。



ユウの言う゛一本 ゛は本命という意味で、ようやく1人の女に絞ったんだなということだ。



ユウの奴は俺が女をとっかえひっかえしていた理由を、唯一知っていた奴。



そんで俺が沙夜に惹かれてたことも分かっていた。



俺は入学した時から沙夜のことを知っていた。