誠人の前では泣いたことなんてなかったのに___あ、もしかして。
『昨日、出て行った後私が泣いたのしってたの?』
「…あぁ、今すぐにでも抱きしめようと思ったけど…戻れなかった」
あっ…あの時、私はもう終わりだと思って追い出したから。
戻ってきていたら誠人の話なんか聞かずに怒り出して帰ってよ!なんて喚いたかもしれない。
全て自分で招いた結果だからなんとも言えない。
「早く泣きやめよ」
誰が泣かしたと思ってるのよ、なんて言おうと思ったけど心配そうに覗いてくる顔が可愛らしいから少しだけわざと涙を流してみたり。
頬を伝う涙を優しく拭う誠人はこの涙の意味を分かってないらしい。
『これは流してもいいの』
「なんでだよ?」
『これは嬉し涙だから』
微笑んで言ったらまたポロリと1粒流れ落ちた。
すると誠人は何故か固まり、動いたかと思ったら口元を手で押さえ「やべぇ…」なんて訳の分からないことを呟くと顔が赤くなっってるのが見えた。
「なぁ」
『何?』
男の…獣のような瞳にいつもよりさらに男らしい雰囲気の彼にドキッと胸が高鳴って、返した言葉が少し震えた。
「キスしていいか?」
NOと言わせんばかりの口調、それに私がNOと言わないと分かっていての言葉。
その余裕の笑みがやけにかっこよく見えた。
恥ずかしくもコクンと頷いた私を見てニヤリと笑った誠人は荒々しく唇を奪った。
野性的な荒々しい強引なキス。
餌をお預けされた獣がやっと餌を与えられてがっつくように唇を奪っていく。



