「ぶっ殺してくるか?」とリンさんのとんでもない発言に首を横に振って止めさせた。
今のリンさんは本当に殺りそうで怖い。
「じゃあどうすんだ」
どうする?私はどうしたい?
「気持ち伝えてねーんだろ?」
伝えてなんかない、伝えられるわけがない。
私たちの始まりはとても曖昧で、終わりも変な終わり方をしてしまった。
それに彼にはミハルさんを騙すために新しい彼女を作って…ミハルさんに見られてるわけじゃないのに、キスをした。
それを意味するものは?
それは___私たちの関係が完全に終わりを告げたことを意味する。
あぁ、もっと泣きそう。
諦めなきゃいけないんだと思う、だけど私は諦めが悪いらしい。
『っ奪って…やるッ』
そう思ってしまっているから。
「そうこなくっちゃね」
『…ユカ?』
「アンタらしい」
そう言ってくれたユカは私の背中を押した。
ようやく一歩踏み出せた私、その一歩は側から見たらただの一歩、小さな一歩に見えると思う。
だけど私にとってはとても大きな一歩で次の瞬間には走り出していた。
さっき曲がろうとした角を曲がると彼と女はまだそこにいて、何やら揉めているようにも見えた。
だけど私には今そんなことどうでもよくて、彼を奪うことしか頭になかった。
走ってくる私に気付いた誠人。
誠人が私に気付いた瞬間、その懐かしいと思ってしまう胸の中に飛び込んだ。
少しよろけながらもしっかりと私の体を受け止めた誠人は混乱しているようで「沙夜?な、え…なんでいんだ、え?」と同じことばっか言っている。
私は彼の名前を呼ぶこともなく胸に埋めていた顔を上げると、両手で彼の頬を掴み引き寄せ少し背伸びをし…キスをした。
私の行動に固まる誠人。
私の行動に唖然とする女。
唇を離した私は…
『好きって気づいてよ…バカ』
涙を流しながら好きと伝えた。



