リンさんの言っている意味が分からず訊き返そうとしたら「やっぱ本物が可愛いな」と口から零した。
ちょっと待って、本当待ってほしい。
私この人のこと知らないのに何でこの人は私のことを知っているの?
もしかして…噂で知ってるの?
『何で私のこと知ってるの?あなたは誰ですか?』
一応尋ねてみることにした。
そしたらリンさんは驚いた表情をして「え?しらないの?」と自意識過剰な発言を投下。
えっと…すっごいナルシスト?
「誠人から聞いてねぇ?」
誠人…?
誠人って北条誠人のことだよね?
何、誠人繋がりなの?
「アイツ俺のおかげなのに彼女に話してねぇのかよ」
俺のおかげ?何のこと?
『ていうか、彼女じゃないです』
「は?そうなのか?」
『はい。昨日、振られましたから』
「はぁ?!んだそれ?アイツ意味分かんねーぞ」
意味が分からないのは私の方なんだけど、と言いたいところだけど何か言えない雰囲気。
とりあえずリンさんの言葉を待つ。
「あーえっと…とりあえず俺は魑櫻って族の総長リン。アンタのいじめ止めてあげたの俺だから」
『は?』
ちょっと待って、頭が付いていかない。
何?この人が魑櫻の総長?
この人がメールを回していじめを止めてくれた張本人。
この場合どうするの?どうするんだっけ?
とりあえずお金でお礼?
「あー礼ならいらねぇ」
するとリンさんは私の考えを読んだかのように発言した。
お礼をしなくていいのなら私たちにもう用事ないよね?
もう行ってもいいってことでしょ?
それなら、と踵を返そうとしたとき「おいおい、誰が行ってもいいって?」と止められた。
いや、明らかにもう行ってもいい雰囲気だたよ?と言い返しそうになったけどリンさんの次の言葉で私の発言権はなくなった。