私って意外と人の気持ちには疎いから。
まともな恋愛だって2回くらいしかしてないし。
それを知っているのは勿論ユカ、ただ1人。
じゃあ行こっか、と学校の方へ進もうとしたら腕をグイッと引っ張られそのまま後退してしまった。
よろけた私は久志くんによって受け止められた。
『止め方が強引だなぁ~』
昨日、久志くんが言っていたことを少しばかり真似て言ってみた。
「俺はこういう奴です、相楽先輩」
『で、なに?』
「最後に昨日みたいに゛久志゛って呼んでください」
少し照れながら言った彼が可愛いと思った。
いいよ、と言って彼の目を見る。
『久志…』
「…っ」
『学校行こっか』
手を繋いで最初で最後の久志くんとの登校。
そんな彼の横顔はどこか寂しげだった。
そんな彼の小さな気持ちの変化に気づいてるのに何もしない私は鬼だろうか?
そんなことを考えた。
久志くんと別れ教室へ行くと私が入るまでは明るく騒がしいのに一歩踏み入れた途端冷たいものに変わる。
騒がしさはどのにいった?と言いたくなるくらい静かになる。
今日も朝からため息を吐きながら席につくと前に座るユカがイスと体を方向転換させた。



