誠人から…?まさか誠人とユカが連絡を取り合っていたなんて。
全然知らなかった。
「だから、アンタが落ち込んでるだろうと思って」
落ち込んでるっちゃあ落ち込んでるよ、過去最大に。
でも、なんでそれを分かっちゃうかな。
「だから買い物でもして一瞬くらいは忘れようってね」
一瞬でも忘れることができるなら。
『行く』
私は即答した。
ユカは制服だとマズいから着替えようと言って近くの公園のトイレに入った。
ユカの右手に握られた紙袋が気になっていたけど、その正体はユカの可愛い洋服たち。
早速、ユカの服に着替えた。
制服を袋に入れて再び街を歩く。
するとどしたもんか、さっきから声を掛けられる。
男から。ようはナンパだ。
目の前から2人の男が来てすれ違う。
3秒後…
「ねぇ君たち」
ナンパをされる。
またか…もういい加減にしてほしい。
「はいはい今私たちデート中なの。見て分かんない?」
「「え?」」
男2人はポカンと同じアホ面になった。
ていうかユカ…今度はレズ設定?
「女の子同士のデートだよね。うんうん分かるよ?」
「だからさ、女2人だけじゃつまんないじゃん?」
どうやらこの2人はユカの言っている意味が分かっていないらしい。
まだ私たちにしつこく遊ぼうと誘ってくる。
「だーかーらぁ」
ユカはこれで何度目かのナンパにイライラしているようで言葉に少し棘がある。
ていうか、このままだと完全にキレてしまう。
この2人早くどっか行ってくれないかな。
「テメェらいい加減__」
「なぁ、俺らの女に何声かけてんの?」
『…え?』
背後からかかった声、と言うか掛けられた言葉に驚いてしまい声を出して振り向いた。
そこに立っていたのはイケメン2人で、身長も高く見上げてしまう。
するとナンパ男2人は、このイケメン2人に勝てないと分かったようで舌打ちをして去って行った。
とりあえず、これは助けてもらったのかな……そうだよねきっと。
ユカと戸惑いながらもお礼を言って「では…」と去ろうとした____のに腕を掴まれて止められた。
『…あの?』
「おいリン。何してんだ」
腕をつかんだ男はリンという名の人らしく、可愛い名前だなと思った。
リンさんは私の腕を掴んだまま何も言わずただジッと私の顔を見ている。
こんなにジッと見られるとさすがに恥ずかしくて、放してくださいと言うとようやく放してくれた。
「やっぱ本物だな」
『へ?』
意味不明の発言に首を傾げた。
本物とはどういうこと?